2013年8月15日木曜日

霞ヶ関の江戸城外堀跡石垣

虎ノ門で打ち合わせのあった帰り道。

ちょっとお茶でもしてひと息入れてから帰ろうか・・・ということで、そういえば虎ノ門交差点のそばが再開発されて霞ヶ関コモンゲートという一角に整備されていたな・・・というのを思い出し、話のタネに行ってみることにしました。

霞ヶ関コモンゲートはもともと文部科学省とか会計検査院の庁舎があったところを再開発した一角です。

東館(文部科学省や会計検査院が入居)・西館(1階が金融庁)の高層ビル2棟と2階建ての店舗棟「アネックス」、それに登録有形文化財の「旧文部省庁舎」(文化庁が入居ww)が、隣接する霞ヶ関ビルや東京倶楽部ビルとともに広場を囲んで立ち並んでいます。

で、虎ノ門交差点側から地下鉄虎ノ門駅からの出口に沿って階段とエスカレーターを上って広場に出ると・・・



正面に、どど~ん!と打ち込みハギも麗しいこの石垣が現れます!

これが実は江戸城外堀跡の石垣なのです。
・・・が、こんなところに整備されているせいか、みんな単なるビルの植え込みだと思って、誰も着に留めない(T_T)

この江戸城外堀の石垣は、寛永13年(1636年)に、家康の代から続いた江戸城整備の総仕上げとして三代将軍徳川家光が命じたいわゆる天下普請で、60家の大名を6組に分け、それぞれ区域を分担し、はるか伊豆から花崗岩を船で運んで、現在のほぼ外堀通りに相当する全長14kmを積み上げたものだといいます。

ちょうどこの石垣の下、地下鉄虎ノ門駅の連絡通路には、この石垣の立派な(!)展示コーナーが作られていて、そこからすぐ近くに石垣を見ることができます。





ここの窓の下面(黒い部分)が昔の水面の高さだそうですが、この天下普請でこの石垣の工事を担当した豊後佐伯藩毛利家の家紋を模した、矢筈の刻印もすぐ近くにばっちり見えます☆





この展示コーナーの案内板によると、霞ヶ関コモンゲートの工事でこの石垣が出土した際には、この刻印と、向かって右隣の区域を担当していた備中庭瀬藩戸川家の刻印の有無で、両方の担当場所の境界(丁場割)がしっかりわかったのだといいます。

・・・が、その丁場割部分、現在は埋められちゃって全く見ることができません・・・残念!



で、しばし石垣や展示パネルに見入っていると・・・おや?
パネルに「敷地内に石垣の展示は3ヶ所・・・」と書いてあるではありませんか!

これは探すっきゃない!

「石垣の続き」になるわけですから、この石垣の表面ライン延長上のどこかにあるはず・・・
またはもともとの外堀にあたる外堀通り沿いか?

と、適当に当たりをつけて、よく調べもせずにまずアネックスの前に出てみると・・・



ありました~☆ 背は低いけど石垣の一部!

ここは備中松山藩池田家が担当した部分だということですが、上に植栽がされているので、どう見ても生け垣にしか見えない(笑)



実はこの石垣と道路をはさんで向かい側の虎ノ門三井ビルの前の歩道には、因幡鳥取藩が築いた外堀唯一の櫓台跡が残っています。

これまた道路から見ると、どう見ても生け垣にしか見えません・・・が、回り込んでみると、高さ1m位の石垣の角がつきだしています。

一瞬「これが3つめか?」と思ったのですが、この櫓台跡があるのはコモンゲートの敷地内ではないので「3つめ」ではない・・・ということで気をとりなおし、またコモンゲートの敷地を外堀が続いていたと思われる溜池方向に向かって、歩いて行きました。



・・・が、敷地の途切れる特許庁との間の道まで来ても、それらしいものが見当たらない・・・
念のため、特許庁とコモンゲートの間の道を三年坂の方に登っていっても、やっぱりない・・・

と、ひょいっと道ばたの案内板を見ると・・・最初に行った展示コーナーのすぐそば、旧文部省庁舎の裏側の文部科学省新庁舎との間の細長い中庭に石垣がある~!

結局コモンゲートの敷地を一周しちゃったよ~(>。<)





というわけでとんで行ってみると、通路からちょっと入り込んだところにある上に地面を細く掘り込んだところに展示してあって、しかもそこまでの道案内も見当たらず、植栽までしてあってちょっと見生け垣風なので、そばにいくまで全然わからない~!


もうちょっとPRしてほしいです、文化庁さん・・・(T◇T)


でも、そばに行ってみると先ほどの展示コーナーよりもさらに石垣が間近に見れる上、対面には石垣発掘調査の報告が展示されています。










ここの石垣は摂津三田藩九鬼家が担当したということですが、刻印や楔の跡だけでなく、細部を鑿で削った跡なんかもよく見えます。




そして、この展示場所にむかって点々と飛び石のように石が埋め込まれているのですが、この石は実は石垣の石で、石が配置されているラインが外堀の縁だったそうです。。。




お茶するつもりで来たコモンゲート、結局当初の目的はどこかにすっ飛んでいっちゃいましたけど(笑)東京のそれも官公庁のど真ん中に、歴史がひっそりと埋もれているんだなぁ~と感慨にふけってリフレッシュしちゃいました♪

巨大広大な江戸城、遺構は都内のあちこちにまだまだあるようなので、このコモンゲートの遺構も含めていろいろ探して訪ねると楽しいですね!




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